訪問看護計画書・報告書の正しい作成と管理
- 管理人
- 3 日前
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管理者が押さえるべき重要ポイント
訪問看護計画書と訪問看護報告書は、単なる事務書類や請求のための添付資料ではありません。
主治医の指示を具体的な看護へ落とし込み、実施した訪問看護の内容や利用者の状態変化を主治医へ返すことで、在宅療養を継続的に支えるための重要な書類です。
一方で、実務では次のような問題が起こりがちです。
指示書を更新したものの、計画書を見直していない
計画書の目標が抽象的で、実際の看護内容と結び付いていない
報告書が訪問内容の羅列になっている
計画書、報告書、訪問記録、保険請求の内容が一致していない
主治医へ提出した記録が残っていない
介護保険利用者への説明、同意、交付が確認できない
訪問看護ステーションの管理者には、書類が存在することだけでなく、内容の整合性や提出状況まで管理することが求められます。
この記事では、訪問看護計画書・報告書の基本的な役割と、管理者が確認すべき実務上のポイントを解説します。
※医療保険に関する記載は、2026年6月1日から適用されている厚生労働省の現行通知に基づいています。
訪問看護計画書と報告書の違い
訪問看護計画書と訪問看護報告書は、役割が異なります。
訪問看護計画書
訪問看護計画書は、利用者に対して今後どのような訪問看護を提供するのかを示す書類です。
主治医の指示、利用者の希望、病状、心身の状態、生活環境などを踏まえ、療養上の目標と、その目標を達成するための具体的な支援内容を記載します。
訪問看護報告書
訪問看護報告書は、実際に訪問看護を実施した結果を主治医へ報告する書類です。
訪問日、病状の経過、実施した看護やリハビリテーション、家族の介護状況、主治医へ伝えるべき事項などを記載します。
つまり、両者の関係は次のように整理できます。
計画書:これから何を行うのかを示す書類報告書:実際に何を行い、どのような結果だったのかを伝える書類
訪問看護は計画に基づいて実施し、その結果を評価して主治医へ報告し、必要に応じて計画を見直すという循環で管理することが重要です。

訪問看護計画書を作成する目的
訪問看護計画書の目的は、単に訪問予定や処置内容を記録することではありません。
主治医の指示を踏まえながら、利用者が在宅でどのような生活を目指すのか、そのために訪問看護が何を支援するのかを明確にすることが目的です。
計画書には、少なくとも次の要素が必要です。
利用者の基本情報
看護・リハビリテーションの目標
療養上の課題
具体的な支援内容
実施した支援に対する評価
衛生材料が必要な処置の内容と必要量
訪問を予定している職種
特別な管理を要する内容
他の医療・介護・福祉サービスの利用状況
その他の留意事項
現行の医療保険の記載要領では、目標、療養上の課題、支援内容、評価を具体的に記載することが示されています。
また、理学療法士、作業療法士または言語聴覚士による訪問を予定している場合は、利用者に分かる形で訪問予定の職種を記載します。
抽象的な目標だけでは不十分
計画書の目標が、次のような表現だけになっていないでしょうか。
安心して在宅生活を送る
病状の安定を図る
ADLの維持・向上を目指す
服薬を継続する
これらは方向性として間違いではありませんが、これだけでは具体的な支援内容や評価方法が分かりません。
例えば、「病状の安定を図る」という目標であれば、次の内容まで整理する必要があります。
どの症状を重点的に観察するのか
どのような変化があったら主治医へ報告するのか
服薬管理にどのような問題があるのか
利用者や家族に何を説明するのか
どの状態になれば目標を達成したと評価するのか
計画書は、誰が訪問しても支援方針を理解できる内容でなければなりません。
利用者ごとの病状や生活上の課題を反映せず、複数の利用者に同じ文章を流用するだけでは、個別性のある計画とはいえません。
計画書は誰が作成するのか
医療保険・介護保険のいずれも、制度上の作成主体は「看護師等」とされており、計画書の作成に関する規定では准看護師が除かれています。
管理者がすべての計画書を自ら作成しなければならないわけではありません。
しかし、管理者には計画書と報告書の作成について、必要な指導、確認、管理を行う責任があります。
そのため、担当者が作成した計画書をそのまま承認するのではなく、少なくとも次の点を確認する必要があります。
主治医の指示内容と一致しているか
利用者の希望や現在の状態が反映されているか
目標と支援内容がつながっているか
評価できる内容になっているか
訪問職種や訪問内容が実際の提供体制と一致しているか
ケアプランや他職種の支援内容と矛盾していないか
管理者の確認は、誤字や記入漏れを探すだけの作業ではありません。
指示、計画、実施、評価が一貫しているかを確認する業務です。
介護保険では説明・同意・交付が必要
介護保険による訪問看護では、すでに居宅サービス計画、いわゆるケアプランが作成されている場合、その内容に沿って訪問看護計画書を作成しなければなりません。
さらに、計画書の主要な事項を利用者または家族へ説明し、利用者の同意を得たうえで、作成した計画書を利用者へ交付する必要があります。
主治医に対しても、計画書と報告書を提出して連携を図ります。
管理者は、次の事実を確認できる状態にしておく必要があります。
いつ説明したのか
誰に説明したのか
同意を得たのか
いつ計画書を交付したのか
交付した計画書と事業所保管分が同じ内容か
計画書に署名欄を設けるか、電子記録上で説明・同意・交付日を残すかなど、確認方法を事業所内で統一しておくことが重要です。
医療保険では主治医との連携が重要
医療保険の訪問看護では、訪問看護計画書の主要な事項を利用者または家族へ説明しなければなりません。
また、訪問看護ステーションは、計画書と報告書を主治医へ提出し、密接に連携する必要があります。
ここで注意したいのは、主治医へ書類を作成しただけでは提出したことにならないという点です。
管理上は、次の情報を残しておくと安全です。
提出日
提出先の医療機関
宛先となる主治医
FAX、郵送、持参、電子送信などの提出方法
送信結果または受領確認
再送した場合の経過
実地指導や個別指導に備えるという意味だけでなく、「送ったつもり」「医療機関には届いていない」という連携上の事故を防ぐためにも、送付履歴の管理が重要です。
訪問看護報告書に記載する内容
現行の医療保険の標準様式では、訪問看護報告書に次のような内容を記載します。
訪問を実施した日
病状の経過
看護・リハビリテーションの内容
家庭での介護状況
衛生材料の使用量と使用状況
衛生材料の種類や量を変更する必要性
訪問看護情報提供療養費に関する情報提供先と情報提供日
頻回訪問が必要な理由を含む特記事項
訪問日については、訪問職種、特別訪問看護指示書に基づく訪問、1日2回以上の訪問、長時間訪問などを区別して記載する形式となっています。
報告書で重要なのは、「何をしたか」だけでなく、「その結果、利用者がどう変化したか」を伝えることです。
例えば、単に「服薬確認を実施した」と書くのではなく、次のような情報まで記載すると、主治医が状態を判断しやすくなります。
飲み忘れの回数が減った
家族による服薬確認が可能になった
眠気やふらつきが出現している
残薬が増えている
本人が服薬に拒否的になっている
次回診察時に処方調整を検討してほしい
報告書は、訪問記録を短くまとめ直すだけの書類ではありません。
主治医が今後の診療や指示内容を判断するための情報提供書として作成する必要があります。
計画書と報告書は必ずつながっていなければならない
計画書と報告書を別々の書類として扱うと、内容が分断されます。
本来は、次の流れでつながっていなければなりません。
主治医の指示↓利用者の状態と課題の把握↓訪問看護計画書の作成↓計画に基づく訪問看護の実施↓訪問記録への記載↓目標達成度の評価↓訪問看護報告書による主治医への報告↓必要に応じた計画の見直し
厚生労働省の現行通知でも、目標達成の程度と効果を評価し、訪問看護記録書へ記載するとともに、必要に応じて計画書を見直すことが示されています。
管理者は、計画書に書かれた目標が報告書で評価されているかを確認する必要があります。
例えば、計画書に「褥瘡の悪化を防ぐ」と記載されているにもかかわらず、報告書に褥瘡の大きさ、深さ、滲出液、周囲皮膚、処置内容の変化が全く書かれていなければ、計画と報告がつながっていません。
計画書を見直すべきタイミング
計画書は、一度作成したら指示書の有効期限まで変更しなくてよい書類ではありません。
次のような変化があった場合には、計画の見直しが必要かを検討します。
病状が悪化または改善した
入院や退院があった
主治医の指示内容が変わった
訪問回数や訪問職種が変わった
新たな医療処置が開始された
利用者や家族の希望が変わった
主介護者の状況が変わった
ケアプランが変更された
目標を達成した
現在の支援では目標達成が難しいことが分かった
現行様式には、計画書の作成年月日だけでなく、計画を見直した年月日を記載することが求められています。
指示書が更新された際には、指示期間だけを変更するのではなく、傷病名、処置内容、注意事項、訪問頻度などに変更がないか確認し、計画書の修正が必要かを判断します。

報告書は必ず毎月提出しなければならないのか
法令や通知では、計画書と報告書を主治医へ「定期的に提出する」ことが基本とされています。
介護保険でも、主治医への計画書・報告書の提出が求められています。
そのため、「すべてのケースで法令上必ず月1回」と一律に説明するよりも、制度上は定期提出が必要であり、具体的な提出時期を事業所内で明確にするという理解が適切です。
ただし、報告書の標準様式が訪問月を単位として作られていることや、主治医との継続的な連携を考えると、実務上は月次作成・月次提出を標準とする事業所が管理しやすいでしょう。
提出頻度を職員ごとの判断に任せず、次のようなルールを設定することが重要です。
毎月の作成期限
管理者の確認期限
医療機関への提出期限
休日の場合の取扱い
修正が発生した場合の再提出方法
未訪問月の取扱い
利用終了時の最終報告
精神科訪問看護では専用様式を使用する
精神疾患を有する利用者等に精神科訪問看護を提供する場合は、一般の様式ではなく、精神科訪問看護計画書と精神科訪問看護報告書の標準様式を使用します。
精神科訪問看護報告書では、一般の報告項目に加えて、次の点に注意が必要です。
家族や友人等との対人関係
精神状態
服薬状況
生活リズム
作業や対人関係
月の初日の訪問時に評価したGAF
30分未満の訪問を行った日の表示
精神科特別訪問看護指示書に基づく訪問日の表示
現行の記載要領では、精神科訪問看護報告書に、月の初日の指定訪問看護時に判定したGAFの値と判定年月日を記載することが示されています。
管理者は、単にGAF欄が埋まっているかだけでなく、訪問記録に記載された利用者の状態と評価値に不自然な食い違いがないかも確認する必要があります。
医療保険・介護保険・精神科の主な違い
項目 | 医療保険 | 介護保険 | 精神科訪問看護 |
使用する標準様式 | 訪問看護計画書・報告書 | 訪問看護計画書・報告書 | 精神科専用の計画書・報告書 |
主治医への提出 | 必要 | 必要 | 必要 |
利用者等への説明 | 主要事項を説明 | 説明が必要 | 主要事項を説明 |
利用者の同意 | 制度上の取扱いを確認して運用 | 明確に必要 | 保険区分に応じて確認 |
利用者への計画書交付 | 事業所の運用を明確化 | 明確に必要 | 保険区分に応じて確認 |
特有の確認事項 | 訪問職種、衛生材料、情報提供等 | ケアプランとの整合性 | GAF、30分未満、家族等との関係等 |
特に、医療保険の取扱いと介護保険の取扱いを混同しないことが重要です。介護保険では、計画書の説明、利用者の同意、利用者への交付が明確に規定されています。
管理者が確認すべきチェックポイント
計画書と報告書を確認するときは、次の項目を点検します。
指示書との整合性
指示期間内の計画になっているか
傷病名や処置内容が一致しているか
指示されていない医療処置が含まれていないか
主治医の注意事項が反映されているか
計画書の内容
利用者の希望が反映されているか
目標が具体的か
課題と支援内容がつながっているか
評価可能な内容か
訪問職種や頻度が実態と一致しているか
ケアプランと矛盾していないか
報告書の内容
訪問日と職種が正しいか
訪問記録と内容が一致しているか
病状の変化が具体的に記載されているか
計画書の目標が評価されているか
主治医に判断してほしい事項が明確か
頻回訪問の必要性が説明されているか
提出・交付状況
主治医への提出日が記録されているか
FAXや郵送等の送付履歴が残っているか
介護保険では説明、同意、交付が確認できるか
修正版を提出した場合に旧版と区別できるか
書類の保存
介護保険の国基準では、主治医の指示書、訪問看護計画書、訪問看護報告書、サービス提供記録などを、その完結の日から2年間保存することとされています。指定権者の条例や事業所所在地の取扱いにより、より長い保存期間が定められていないかも確認が必要です。
計画書・報告書管理で避けるべき状態
管理者は、次のような状態を放置してはいけません。
指示書と計画書の内容が違う
主治医の指示書では週1回となっているのに、計画書では週2回となっているなど、書類間の不一致がある状態です。
計画書と実際の訪問内容が違う
計画書に記載されていない支援を継続的に行っている場合は、計画の見直しが必要です。
報告書が毎月ほぼ同じ文章になっている
状態が安定していても、観察結果、生活状況、家族の状況、目標に対する評価などは月ごとに確認する必要があります。
作成日や見直し日が不明確
作成時期が分からない計画書では、どの指示や利用者の状態に基づく計画なのか確認できません。
主治医へ提出した証拠がない
書類データが事業所内に保存されていても、提出日や送付方法が残っていなければ、主治医との連携状況を確認できません。
計画書・報告書を正しく運用するためには、指示書管理が欠かせない
訪問看護計画書と報告書を正しく作成するためには、その前提となる訪問看護指示書が有効であり、最新の指示内容を確認できる状態でなければなりません。
指示書の期限が切れていたり、更新後の指示内容が職員に共有されていなかったりすれば、計画書や報告書の内容にも影響します。
しかし、利用者が増えるほど、次のような管理が複雑になります。
指示書の有効期限
更新依頼の時期
医療機関への依頼状況
指示書を受領した日
指示内容の変更
画像やPDFの保存場所
担当者間の情報共有
紙の一覧表や複数のファイルで管理していると、情報が分散し、更新漏れや確認漏れが起こりやすくなります。
指示書管理をもっと分かりやすく。「シジベル」
シジベルは、訪問看護ステーションの指示書管理と更新業務を支援するサービスです。
利用者ごとの指示書情報をまとめて管理し、期限が近づいている指示書を確認できます。

シジベルでできること
利用者情報の一元管理
指示書の種類と有効期間の管理
指示書の期限アラート
指示書画像・PDFの保存
医師宛て更新依頼書の作成
更新依頼や送付履歴の確認
ステーション内での情報共有
利用者情報の検索・絞り込み
計画書と報告書を適切に運用するためにも、まずはその根拠となる指示書を確実に管理する必要があります。
「誰が更新を依頼したのか分からない」
「期限が近い利用者を毎回一覧表から探している」
「指示書がどこに保存されているか担当者しか分からない」
このような管理上の負担を減らし、指示書管理を個人の記憶ではなく、事業所全体で共有できる仕組みへ変えていきます。
まとめ
訪問看護計画書と報告書は、主治医の指示と実際の訪問看護をつなぐ重要な書類です。
管理者が特に押さえるべきポイントは、次のとおりです。
計画書は主治医の指示、利用者の希望、心身の状態を踏まえて作成する
目標、課題、支援内容、評価を具体的につなげる
介護保険ではケアプランに沿って作成する
介護保険では利用者への説明、同意、交付が必要
計画書と報告書は主治医へ提出する
報告書では実施内容だけでなく、結果と状態変化を伝える
精神科訪問看護では専用様式とGAF等の記載に注意する
指示書、計画書、訪問記録、報告書、請求内容を一致させる
状態や指示内容が変化した場合は計画書を見直す
提出日、送付方法、説明・同意・交付の記録を残す
書類を作成すること自体が目的になってしまうと、同じ文章の繰り返しや形式的な記録が増えていきます。
計画書で支援の方向性を明確にし、訪問看護を実施し、報告書で結果を主治医へ返し、必要に応じて次の計画へ反映することが重要です。
管理者には、この一連の流れが適切に機能しているかを確認し、職員への指導と管理を行う役割があります。

※本記事は2026年7月29日時点の厚生労働省令、通知および標準様式に基づく一般的な解説です。実際の運用では、保険種別、利用者の状態、指定権者の条例、地方厚生局や保険者の取扱い等も確認してください。



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